ヴィンテージバンドTシャツが高騰し続ける理由

私がロックやメタルバンドに熱中し、メロイックサインをかざしながらヘッドバンギングしていた高校生や大学生の頃は、ヴィンテージバンドTシャツは一部のコアな音楽好きや古着好きの人のみが着るようなアイテムでした。

しかしながら、2010年代半ばごろからはこの認識が大きく変わります。ファッションアイコンとなる著名なアーティストやデザイナーが好んで着用したこともあり、コアな音楽ファンのみならず、多くのライト層やファッション好きの間において一つのファッションアイテムとしての地位を確立し、イメージが一変。人気なファッションアイテムとしてファッション好きがこぞって買うようになりました。

 

そしてさらには資産性の高い投資対象としての認識も広まったことでコレクターや投資家といった富裕層の間でも人気が高まり市場価格は高騰を続けています。

例えば1990年代初頭のロックシーンを席巻したバンド、ニルヴァーナの90年代Tシャツなどは発売時2,000~3,000円ほどで買えたものが、人気アイテムにおいては60万円以上の価格で取引をされております。


60万円超で取引されるNIRVANAのヴィンテージTシャツ - Heart-Shaped Box

 

もはや今ではコアな音楽ファンや古着好きだけが欲しがるアイテムではなくなり、ライト層からファッション好き、コレクター、富裕層と多くの人が欲しがりなかなか手に入りずらい貴重なアイテムとなりました。

ここではヴィンテージバンドTシャツと、中でも人気の高いニルヴァーナのTシャツに焦点を当て、ヴィンテージバンドTシャツの需要が高まった背景、そして高騰が続くその理由を深堀します。

 

1. きっかけは「American Music Awards 2015」でジャスティンビーバーが来たHeart Shaped Box

コアな音楽ファンに限らず、多くのライト層やファッション好きまでもがNIRVANAのTシャツに注目するきっかけとなったのは、「American Music Awards 2015」にジャスティンビーバーがNirvanaの楽曲Heart Shaped BoxのTシャツを着て登場したことでした。

 

これには多くのコアなニルヴァーナファンからは否定的な意見が多く噴出したりしましたが(コアな音楽ファンは自分のお気に入りが大衆に目を向けられるのを嫌う)、カートコバーンの妻であるコートニー・ラヴがジャスティンビーバーを擁護するコメントを残すなど、賛否両論巻き起こしながらコアな音楽ファンのみならず、ライト層やファッション好き、若者といったニルヴァーナをあまり知らない人を含め多くの人の注目を集めました。

 

2. ファッションアイテムとしての地位の確立

ジャスティン・ビーバーが着用したこのTシャツは、ラグジュアリーストリートの火付け役となったブランド『 Fear of God』の創設者ジェリー・ロレンゾの物でした。ジェリー・ロレンゾはNIRVANAをはじめとするグランジロックやメタルバンドの世界に強い影響を受けており、NIRVANAのみならず様々なヴィンテージバンドTシャツのコレクターでもあります。


スラッシュメタルバンドSLAYERのTシャツを着るジェリー・ロレンゾ

 

ジェリーロレンゾはFear of Godを2013年にスタートしたばかりでしたが、カニエウエストのツアーデザイナーを手がけたこともあり、急速にデザイナーとしての地位を確立し始めていました。

彼はジャスティン・ビーバーがNIRVANAのTシャツを着て議論を巻き起こしたAmerican Music Awards 2015の後、ジャスティン・ビーバーのツアーのスタイリングに参加することとなります。そこで彼はバンドTシャツをライブのスタイリング、ツアーグッズに取り込んでいきます。


ジャスティン・ビーバーのパーパスツアー 

 

このツアーのスタイリングは大きな成功を収め、ジェリー・ロレンゾとそのブランドFear of Godのファッション界での地位を高めることとなりました。以降Fear of Godは多くのセレブリティが着用するラグジュアリーストリートブランドとして急成長していきます。

そしてその人気と共に今まで単にコアな音楽ファンが着るものというややアンダーグラウンドなイメージのものであったヴィンテージバンドTシャツが、ファッションアイコンとなる人気アーティストやラグジュアリーストリートブランドのデザイナーが愛好する”ファッションアイテム”として、多くのファッション好きの間に急速に広まっていきます。

 

シンプルで真似しやすく、写真映えもしやすいTシャツというフォーマットが、インスタグラムといったSNSと相性が良かったというのが、ここまで人気が広がった背景としてもあったかもしれません。

 

3. 現代のトップアーティストを始め、いまだに多くの人に愛され強い影響を与える普遍的、永続的なアーティストとしての魅力

そしてそのブームが一過性に終わらず、いまだに人気で価格が高騰し続けているのはやはりシンプルにアーティストの魅力が挙げられます。

ニルヴァーナはローリングストーン誌が選ぶ最も偉大なアーティスト100に選出、リードボーカルのカートコバーンは個人としても歴史上最も偉大な100人のシンガーに選出されるなど、音楽誌に名を残したアーティストです。

 

大人気アルバム「ネヴァーマインド」は、90年代ロック界の最高傑作と評価されており、グラミー賞を運営するレコーディング・アカデミーはこのアルバムをグラミー賞殿堂入り作品として選出し、ロサンゼルスにあるグラミー博物館に展示しています。グラミー殿堂賞は、制作から25年以上が経ち、文化的または歴史的な価値がある録音物を対象としています。

ニルヴァーナはよく知らなくても、「ネヴァーマインド」の1曲目「スメルズライクティーンスピリット」は耳にすれば誰もが一度は聞いたことがある曲かと思います。

 

現代のトップアーティストやデザイナーを初め多くの人がファンとして公言し、そのTシャツをリスペクトの表現の一つとして着用するほどの偉大さが、こういった権威ある音楽誌や賞に選出されていることから垣間見れるかと思います。

 

4. 希少性からコレクターズアイテム、投資対象としての人気も高まる

コアな音楽ファンのみならず、ファッション好きからも人気なアイテムとなったヴィンテージバンドTシャツですが、その中でも90年代に発売されたNIRVANAのTシャツは特に高額な値段がついています。その要因の一つが供給されたTシャツの枚数が限定的だったことがあります。

リードボーカルのカートコバーンは27歳という若さで自ら命を絶っており、NIRVANAはデビューからわずか約5年間という期間で解散を迎えます。


カート・コバーン追悼Tシャツ

 

オリジナルアルバムはたった3枚。この活動期間の短さゆえに当時発売されたTシャツの数というのが他のアーティストよりも圧倒的に少ないため、コレクターの争奪戦が激化する形となり価格が数十万円を悠に超えるまで高騰しました。

都内の90年代バンドTシャツを多く抱える古着屋をまわって見ても、現代でリプリントされた物を除くとNIRVANAの90年代物のバンドTシャツは全くといっていいほど発見できず、在庫を持っているのは一部の著名な古着屋のみ、そして価格も20~80万とかなりの高額です。

この希少性がコレクターや富裕層の琴線に触れ、ファッションアイテムとしてではなく、コレクターズアイテムや投資対象としての購入の流れも産み、市場から物がなくなり価格はどんどん上昇しています。

この流れはニルヴァーナに限らず多くの人気バンドのヴィンテージTシャツにも波及し、ヴィンテージバンドTシャツ市場全体の価格が高騰、今ではwearable investment(着用できる投資)とも呼ばれ一つの投資アセットとしての認識が広がっています。

 

サマリー

 本記事ではNIRVANAを始めとするヴィンテージバンドTシャツの需要が高まった背景を見てきました。市場にはリプリントされたものや偽造品も多く出回っており、フリマアプリ等では詐欺的な販売も多々見受けられます。実際にご購入の際は十分にお気をつけください。

TEES SPIRITでは本物のヴィンテージバンドTシャツやハイブランド古着を扱っておりますので、気になる方はぜひチェックして見てください。